まよパン感想

 大沼紀子『真夜中のパン屋さん』午前1時の恋泥棒 読了!


 おそらく、この本を読み終わった後、多くの人がいそいそとパン屋さんへ行くのではないか。
 自慢じゃないが、私なんて読書していた通勤中、何回パン屋へ行ったか知れない。
 とくにクロワッサンへの見方が変わり、あちこちのパン屋さんのクロワッサンをかじった。


 『真夜中のパン屋』なんて、作者はなんて不可思議で魅力的なシチュエーションを考え出したのだろう。
 もうそれだけで参った、と言ってしまう。だって、私は書名に惹かれてこの本を手にしたのだから。
 実際には怪しくもなんともない、とても素敵な理由で「真夜中のパン屋」が開店しているのですが。
 

 ちなみに、この作品は、シリーズ2作品目。
 この本から読めないこともないですが、登場人物がほぼ1作品目とかぶっているので、もし読むならぜひ前作から読むことをおすすめします。
 1、2とナンバリングされていないのでちょっと見分けがつきにくいのですが、1作品目は「午前0時のレシピ」。
 もしかしたら次作は「午前2時の〜」と銘打たれているかもしれませんね。


 さて、この本。実は手にした時点で、どういうジャンルで、どんな内容なのか全くわからず。
 表紙がイラストなのでライトノベルかな? と思ったり。
 表紙だけ見てもミステリちっくなのか、恋愛ちっくなのかもいまいちわかりません。
 裏のあらすじを読んでも、このジャンル、とすぱっと書いていない。
 なんとも読むのに指針がなさすぎる感じもしないではないな、と思ったのですが、帯を見ると確かに売れてはいるらしい……。
 なぜ売れているのか。
 読んでみたらわかります(おい)。


 そうですね、たとえば。
 焼きたてのパンを手にした時のようなほんわかした温かさが、読んでるうちに心にぽわっと現れる……。
 ひとつのストーリーに一つのパンが生まれ、最終章ではそのパンたちが寄せ集まって、とあるパン屋さんの中で美味しい香りのハーモニーを奏でているような。
 実際の章立てはパンの生成の過程に沿って書かれているのですが、私は章ごとにパンが作られているイメージを持ちました。
 そして、読後はもちろんおなかいっぱい!


 ということで。
 作者は脚本もお書きになるとのことで、ストーリーのポイントもきちんと突いているし、なによりキャラクターが立っている。
 次作では主人公の希実ちゃんの成長が楽しみだな〜、と思いました。
 その前に、「次作、次作」と言っているけれど、次は出るのかな?
 とりあえず、それまではいろんなブランジェリーをはしごして、美味しいパン屋さんでも見つけてみようかと思います。

真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ (ポプラ文庫)

真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ (ポプラ文庫)

真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)

真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)